お客さんがご不便をこうむるのはよくないから、早く実現しようと、社長に任命されて間もないときから言っていました。 システム開発に時間がかかるという理由で民営化スケジュールを半年遅らせたという状況下で、システムに新しい機能を追加したりすると、大混乱を来しかねない。
そのように当時のI総裁から言われ、3月の接続開始は諦めたのです。 かかわらず、最後まで郵貯との提携に動かなかったのが東京M銀行とMS銀行でした。
システムは4事業すべてに関わる問題です。 暫定システムでは、原則的に、対応できる能力が現行の業務に限られています。
新規業務を展開するには、そのための新しいシステムを整備していかなくてはならない。 たとえば郵便事業には先細りという見方があります。
その理由の一つになっている、こういう機能を統合して、システムを他の物流会社のレベルまでキャッチアップさせていく必要があります。 また、Y銀行の新事業の一つの柱となるクレジットカード事業を進めるためにも、新たなシステムが必要です。
従来、郵政公社が取り扱ってきたクレジットカードサービスは共用カードというもので振込みなどが郵便局のネットワークでしかできないというのは、民営化会社として肩身が狭いことだという思いに変わりはありません。 2008年5月開始という目標は、何としても実現するつもりです。
提携先のクレジットカード会社に事業運営のすべてを任せています。 郵便局は決済をするだけで、クレジット機能は提携先企業が持っています。

これだと、お客さんが郵便貯金の口座を開設してくださるというメリットはありますが、クレジット決済の引き落としだけでは何の収入も得られません。 つまり独自のビジネスとしての体を成していないのです。
銀行として独り立ちする以上、これではいけません。 Y銀行によるクレジットカードの直接発行をしていかなくてはならない。
また、クレジットカード事業を展開することで、顧客情報を蓄積してデータベース化することができます。 それによって、CRMことにも道が開けてきます。
同じことが郵便局の金融事業にも言えます。 今回、郵便局会社は独自のシステムなしにスタートすることになってしまいました。
郵便局会社の新しい事業として、損保などの商品を代理販売していくためには、専用のシステムが必要です。 郵便局会社のシステムをつくることは、喫緊の課題なのです。
ベンダー丸投げ体質からの脱却このように、何をするにもシステム対応が必要なのです。 ところが、そういう認識の下でシステム強化に対応しようとする際にも課題がある。

事務、システムを企画する部隊が非常に弱いということです。 その結果として、すべてをベンダーに丸投げしてしまうことになる。
当然それではいけない。 自分たちが企画して、オリエンテーション、すなわち業務要件、システムの要件定義をきっちり固めることが必要です。
その上で、ベンダーには「これでやってください」と指示する。 あらためて言うまでもないことですが、自分たちの開発案件だという意識を持たないといけないのです。
そのためには、企画能力と自分たちのことであるという当事者意識が必要なのですが、残念ながら、そういう企画部隊が非常に弱いのが現状です。 だから、過去にも、システム開発が行きつつなってしまい、開発を終えた段階になって、これでは使い物にならないなどという事態が生じていました。
弱い部分は外部に人材を求めて補強しなければいけません。 もちろん、内部で人材を育てることは企業として大事ですが、それには時間がかかります。
内部の人材育成と同時に、官の悪弊もまだ払拭しきれていません。 いろいろと厳しく言ってきているのですが、3事業の縦割りで、上意下達の体制の弊害が残っています。
たとえば、普通局の局長で貯金や保険部門出身の人はほんとうに少ない。 ほとんどが郵便事業の出身者です。
何と言っても郵政の根幹は郵便事業でしたから、そういうことになったのでしょうが、問題は、郵便事業担当の人が、貯金のことを何も知らないということです。 横で貯金の仕事をやっている人がいても、自分には関係のないことだと思っている。
また、支社訪問のところでもお話ししたように、郵政の多くの組織で、体制が上意下達外部から人材を強化する。 そうやってこそ人材育成のスピードも速まります。
システムの設計は、商品、サービスの質を新しいものに変え多様化させていくのに不可欠なインフラです。 そのような見方をすれば、これまでの郵政事業は、規模は大きかったものの、中身は非常にシンプルだったと言えるのでしょう。
その体質を抜本的に変えていくためにも、システムをいかにつくり込んでいくのかが問われているわけです。 で、情報が上から下へ一方通行です。

営業の第一線で何が起きているのかを、本社の人間は数字上でしか把握していない。 本社は現場に、お客さんに対するサービスの向上を、などと言っていますが、ほんとうにお客さんのことをきちんと知っているのかどうか。
本社のほうが大いに反省しなければいけません。 どんなに現場力があっても、そこからの情報が上に正確に伝わらなければ、完全に宝の持ち腐れです。
そこで、私は今、「調達戦略の一元化」「顧客接点の一元化」を課題に掲げ、「日本郵政はグループとして一体でなければならない」ということを強く言っています。 自分たちが3事業をやっている郵便局ネットワークの力の強さをほんとうに分かっているのかと言い続けています。
これまでの組織は縦割り体制で、みな、蛸壷の中からしか外を見ていない。 まずは、この大きさ、力の強さをよく認識しようではないか。
こういうことを、私はたえずメッセージとして送っています。 もいるかもしれません。
調達戦略一元化で何を目指すのか調達戦略一元化を課題として掲げたきっかけの一つは、日本郵政グループの調達先である、ある大手サービス企業のトップの方からの指摘でした。 その方と話をして初めて分かったのですが、その分野に関して、グループ内の各部署・地域別に、何ともバラバラな調達が行なわれていたのです。
競争入札の形式で行なわれている以上、ひとつひとつの調達は適切に行なわれていたと思うのですが、全体を一括して購入することによるコスト削減や、アフターサービス・設備更新といった時間的な観点を含んだトータルなコスト削減については、ほとんど考慮さもちろん、経営はそれぞれ自立していけるようにならなければいけません。 「もたれ合うな」ということは、私もいつもうるさく言っています。
グループとしての力はどこから出てくるのかと言えば、やはり、郵便、銀行、保険の3事業を一体化したところにあります。 そうでなければ、ほんとうのマーケティングなどできるはずはないし、お客さんから期待感も持たれないし、経営にもならない。

バラバラでは力は十分に発揮できないという点を、決して忘れてはいけないのです。 つまり「入り口」のコストだけは意識されているのですが、「その他の」部署・地域のことや、「その後の」購買・調達のことは、ほとんど他人事だったのです。
民間企業はどこでも、規模が大きくなればなるほど、購買や調達を重視するようになります。 まさに「利は元にあり」です。

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